境界戦機 1/72 特大型装甲特殊運搬車から見えるリアルロボット考

模型

境界戦機のプラモデル展開を見て、リアルロボットブームのあの頃を思い出し思わず買ってしまったMG 1/72 特大型特殊運搬車(Armored Special Carrier 以下ASC)のキット。買ってから数ヶ月立つので早速というほどではないが、連休を口実に作り始めてみた。

キットは良くも悪くもバンダイのキットで、少ないパーツ数ながらサクッと形になる。あっさりしたデザインながら、間延びしないよう細部デザインを一工夫(あるいはそういった細部設定もあるのかも)している点も良い。

車体裏側も間延びしないようモールドが施されている。

片側だけある程度外装をつけた状態で組んでみた。中々雰囲気が出ていて格好良い。

片側は外装をつけない状態。車輪を見せる仕上げもありかと思ったが、実際に試してみるとトレーラーのタイヤ周りがちょっと寂しい。やはり設定通りカバーを付けたほうが良さそうである。それにしても、サスペンションとして平行リンクのような形状がモールドされているのは芸が細かい。

一方でこのキット、説明書どおりに作るには良いのだが、説明書とは違う組み方をしたい場合は工夫が必要になるのは少々困りものである。こういった車両は塗装の関係から車輪は最後に取り付けたいのだが、説明書では最初に車輪を取り付けるように指示されている。通常は説明書の指示は無視して後から取り付ければ良いのだが、この車両にはタイヤカバーがあるおかげでそうもいかず、しかもタイヤカバーも組立の比較的早い段階で取り付ける順序になっている。作り手としては、車両本体だけ組んで塗装、タイヤとタイヤカバーは後ハメできるよう手を加えたいところである。

ところがこのキット、それぞれの部品が後から組み付ける部品によって巧妙に拘束される設計になっており、カバー部品を後ハメできるようにするにはカバー部品と周囲の部品の関係を考慮する必要がある。このパズルを最低限の切った貼ったでクリアするかが当面の課題となったが、今回は別の話題で書いてみようと思う。

このキットの仮組みの過程で、10m大のロボットを運用する車両ってやっぱり大きいよね、ということに今更ながら思い至った。そこで現行の大型車両の1/72キットと並べてみて、その違いを見てみたいと思う。

事の発端はこれをみてから。ASCの運転席スペースが広い、広すぎる。ちょっと座席は窮屈そうだし、トラックっぽくベンチシートにしても良い気がするが、これだけスペースがあればベンチシートにすることもあるまい、と考え直した。更に後方には立派なキャビンがある。しかもご丁寧に出入り口に続く階段も再現されている。

これらを見て、自分がデザインに騙されていたことがわかった。形状的に普段よく見るトレーラーのトラクタ(牽引車)だと思っていたが、これは全然別物の大きさだ、と。だとすると、現行の車両と比べるとどんな感じになるのかを見たくなるのが人情というもの。

今回比較の対象とするのはこれ。アカデミー製 1/72 M977。米軍のHEMTTのバリエーションの一つで八輪駆動のすごいヤツ、見ての通り巨大な車両。そのはずだ。本当はM25ドラゴンワゴンみたいなものの方が良かったかも知れないが手元になかったので仕方ない。

ところがそのM977もASCのトラクタと比較するとこんなもんだ、特に車幅と車高が全然違う。ASCはサイドウィンドウのデザインのお陰で、普通のトレーラーのトラクタのようだが、運転席の位置からだとこの窓は視界の確保にほとんど役立っていないことがわかる。

関係ないけど、アカデミーの1/72 M977のキット。とにかくむちゃくちゃ手間がかかる。この状態まで組み上げるのにASCの5倍以上の時間がかかった。その代わりディテールの密度感がぜんぜん違う。エンジンから伸びるプロペラシャフトからセンターデフ、そこから前後に伸びるプロペラシャフト、デフケースが全部再現されており実写の密度感を見事に再現している。

裏から見るとこんな感じ。エンジンとミッションケース(左側)の巨大さも見て取れる。

話を戻して、巨大なのはASCだけではない。

太陽の牙ダグラムに登場するブロムリートレーラーのトラクタも並べてみるとこんな感じ。左から、ブロムリー、M977、ASC。やはりロボット運搬する車両は横幅がヤヴァい。こうして並べてみるとM977のスマートなこと。M25ドラゴンワゴンだとこの1.5倍くらいの幅になるが、それにしてもブロムリーやASCには遠く及ばない。ロボット運搬車両の幅の広い事よ。

そう考えると、身長10mクラスのロボットを兵器として運用するのは結構大変なことがわかる。車両などで運搬する場合などは道幅にかなりの制約が加わることから空輸をメインとするとか、自走をメインとするか、あるいは車両で運搬する場合は腕を胴体から外すみたいな運用上の仕様を考える必要がありそうだ。逆に、現行の道幅、現行の車両に近いもので成立するロボットのサイズは?という問題を考えると、幅のサイズ的にはAMAIMの半分くらい、つまり身長4~5m程度のロボットなら現行車両程度の幅の車両で運用できそうだ。例えば、装甲騎兵ボトムズのATがそのくらいのサイズである。

さて、次はASCの組立を進めるかな?

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