模型屋に来た親子連れの会話で感じたこと

私は特に欲しいものがなくても近所の模型屋に行くことにしている。プラモデルの箱が積まれているのを見ているだけで何だか楽しいだけでなく、時々思いもよらなかった気づきに出会えるからである。

休日などはプラモデル棚を覗き込む親子連れもよく見かけるのだが、子供が例えば戦車の模型に興味を示しているのに親が「それは難しいから」と子供をアニメのロボットの棚に連れて行くような光景を見ると残念な気持ちになる。折角子供が戦車(別に飛行機でも船でもいいのだが)に興味を持ったのに「難しい」を理由にそれを遠ざけるのはその子にとっても親にとっても残念なことだと思う。この親は、子供が東大の受験をしたいと言い出したら「難しいから...」と東大受験を諦めさせるんだろうか?

模型屋の棚には、模型メーカーの大人たちが厳選した「カッコいい何か」(カッコいいだけではないが)が積まれている。模型屋を訪れる子供達にとって、プラモデルが並ぶ棚は見たこともないカッコいい何かを発見する場でもある。そこで興味を持った何かは、その子にとって大事な宝物になるかもしれないのだ。そこに多少の難しさ(と言っても最初に紙工作をするときに感じる程度)はあるかもしれないが、とりあえずその何かに振れる機会が奪われてしまうのは残念に思う。

そもそも、世間的に「プラモデルは難しい」という先入観が刷り込まれているのが問題であるように思える。「カッコいい」って感覚を、簡単に形にできるのがプラモデルの魅力。勿論、模型雑誌に掲載されているようなプロの作品のようなものを作ろうとすればそりゃ難しいだろうが、遊びでプラモデルを作るにあたり難しいことなどそうそうあるわけもない。昔は接着剤のはみ出しでベトベトにしながら作った、なんて話もあるが最近は工具や接着剤の進化でそういったこともなく接着作業も随分と楽になって、子供でも接着剤をはみ出させずにきれいな接着を行うこともできるようになった。それに、接着剤のはみ出しがあったとしても、苦労して仕上げた戦車や軍艦のカッコよさは十分に堪能できる。

プラモデルは所詮趣味の世界。とりあえずカッコいいと思うものがあったら、作りたいと思うものがあったら作ってみるのがいいと思う。そして、もっとカッコよく作ろうと思ったら、その時に色々やってみれば良いと思う。

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