最近、模型店でWL(ウォーターライン)シリーズの箱に「更新版艤装パーツ付属」と書かれているのを目にした。よく見るとこれらは全てアオシマ製。調べてみると2024年あたりから、単なる再生産ではなく新しい艤装パーツを付属させたリニューアル版として発売しているようだ。メーカーとしても古いキットの全面リニューアルをポコポコできるわけでもなく、また比較的古いと言っても基本設計はまだまだ現役キットとして通用するポテンシャルがあるのだから、これはこれでアリだと思う。それに、各艦共通となる艤装パーツのみをリニューアルしてキットとしての価値を維持するというのは、実際に日本海軍が古い戦艦を改装することで戦力的な価値の維持を図ったのに似ていていいではないか。
艦船模型のユーザーの立場からすると、艤装パーツの精密度が上がることは多少の値上がりを許容できるくらいにはメリットがある。ある程度の完成度を目指すとなると、キットの艤装パーツを使わず、社外製の艤装パーツを使用することになり、当然キットとは別の出費を見込まねばならないからである。
となると問題になるのは、その艤装パーツの質である。比較的新しいアオシマの製品を見ると、個々の艦専用の小物部品の再現度がWL共通艤装パーツのそれを上回ることも珍しくなく、新しい艤装パーツはこの最近のアオシマクオリティをクリアしている。部品の細さ、精密さの点では流石にピットロードの新しい艤装パーツセット(NEシリーズ)やファインモールドのナノドレッドシリーズには及ばない部分があるのだが、機銃のような本当に小さくあるべき部品の情報がこれまでのWL共通艤装パーツとは段違いで、なおかつNEシリーズやナノドレッドシリーズほど部品分割がなく手軽に組めるという点で、WLシリーズの艤装パーツとしてうまくまとめられていると思う。
エッチングパーツを多用して精密に組みたいモデラーにはやや不満が残るかも知れないが、そういう上級モデラーにとっても、艤装パーツ全体の精密度が上がり、そのまま使えるパーツが増えることのご利益は十分にあるだろう。
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