リアルロボットアニメブームを2019年の視点から懐かしんでみた(~1983)

模型
バッハ
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こんにちは、J.S.バッハです。

今回は、1980年代に起こったリアルロボットアニメブームについて語ってみようと思う

フェリックス
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うむ

1. リアルロボットとは
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まずリアルロボットとは何ぞやという話だが…

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リアルロボットというのはアレだな。いわゆる10年とか15年位の近未来に実現できそうなロボットというやつだな。

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リアルロボットブーム最中には、そのような言い方もあったが、作品舞台が近未来の地球ではなく、異世界だったり、文明レベルの異なる架空の星系だったりすると、その定義では「リアル」が示す範囲が狭すぎる。

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確かに! 作品の文明レベルのによって近未来の意味は変わってくるな。異世界となればなおさら。

バッハ
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そこで、ざっくりとではあるがリアルロボットを「その作品世界において普通に存在しうるロボット」と定義しよう。こうすれば、オーラバトラーやヘビーメタルも無理なくリアルロボットでくくることができる。

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実際に、「聖戦士ダンバイン」(1983年)が放映された当時は「虫っぽい」などと言われながらも、結局はリアルロボットの分脈の中で受け入れられてきた経緯がある。ダンバインに限らず、新たなロボットアニメや設定の登場とともに「リアル」の意味も少しずつ変化していったと言ってよい。

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なるほど。実際問題、2脚ロボットが普通にありふれる世界など、ブームが去って30年経った今でも到来してはいないわけだし、元の定義ではどの作品も「リアル」と言えないことになってしまうな。

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今を知っているから言えることではあるけどな。

2.リアルロボットアニメブームとは
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リアルロボットアニメブームについてだが…

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1980年代の初めごろ、リアルロボットアニメがブームになったというアレだな。

まあそうなんだが、まずは歴史を振り返ってみようか

1979年  4月「機動戦士ガンダム」(1979.4-1980.1)放映開始
1980年  5月「伝説巨神イデオン」(1980.5-1981.1)放映開始
     8月 バンダイから1/144ガンダムが発売される
1981年  3月 劇場版「機動戦士ガンダム」公開
     7月 「機動戦士ガンダム II 哀・戦士」公開
        ホビージャパン別冊「HOU TO BUILD GUNDAM」発売
        アリイ ザ・アニメージシリーズをスタート
     10月「太陽の牙ダグラム」(1981.10-1983.3)放映開始
1982年  1月 ダイエー新松戸店にて、ガンプラ購入のためにエスカレーターに
       殺到した小中学生が将棋倒しになる事故が発生。
     2月「戦闘メカ ザブングル」(1982.2-1983.1)放映開始
     3月「機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙」公開
     4月「SF3Dオリジナル」がホビージャパン5月号にて連載スタート
     5月ホビージャパン別冊「HOU TO BUILD GUNDAM 2」発売
     10月「超時空要塞マクロス」(1982.10-1983.6)放映開始
1983年  2月「聖戦士ダンバイン」(1983.2-1984.1)放映開始
     4月「装甲騎兵ボトムズ」(1983.4-1984.3)放映開始
     7月「超時空世紀オーガス」(1983.7-1984.4)放映開始
     10月「機甲創世記モスピーダ」(1983.10-1984.3)放映開始
       「特装騎兵ドルバック」(1983.10-1984.7)放映開始
       「銀河漂流バイファム」(1983.10-1984.9)放映開始
1984年  2月「重戦機エルガイム」(1984.2-1985.3)放映開始
        ニットーから「SF3D」キット化
     4月「巨神ゴーグ」(1984.4-1984.9)放映開始
       「超時空騎団サザンクロス」(1984.4-1984.9)放映開始
     7月劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」公開
     10月「機甲界ガリアン」(1984.10-1985.3)放映開始
       模型誌「モデルグラフィックス」創刊(?)
1985年  3月「機動戦士Zガンダム」(1985.4-1986.2)放映開始
     10月「蒼き流星SPTレイズナー」(1985.10-1986.6)放映開始
1986年  3月「機動戦士ガンダムZZ」(1986.3-1987.1)放映開始
1987年  2月「機甲戦記ドラグナー」(1987.2-1988.1)放映開始

月刊モデルグラフィックス2010/6月号の年表をベースに加筆したもの
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8年間もブームが続いたのか、長いな。

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いや、ブームと呼べるのは1981年の中頃から1985年のZガンダムの放映くらいまでの4年くらいの期間だけだな。ただ、リアルロボットアニメブームの分脈で語ることのできる作品の広がりはこの年表くらいになる。

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パトレイバーが入っていないが、あれはリアルロボットアニメではないのか?

バッハ
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パトレイバーに登場するロボットはリアルロボットと呼んで差し支えないが、「機動警察パトレイバー」はロボットアニメブームとは別の分脈で語るべき作品だと思う。世代が一つ違うというか。

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ややこしいな。何が違うんだ?

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プラモデルを売ることを前提として放映された作品か否か、乱暴に言えばこういう切り分けになる。リアルロボットアニメのブームは、リアルロボットアニメのプラモデルのブームという側面もあるんだ。いや、むしろプラモデルのブームがメインであると言っても良い。

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プラモだって? プラモなんてそんなに売れるのか?

バッハ
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当時は今と違って小学生の男子は普通に接着剤を使うプラモデルを組み立てていたんだ。そのうちの何割かは塗装までやっていた。電子ゲームが一般的になる前だったこともあって、プラモデルは当時の小学生男子にとって普通の趣味だったんだ。

ちなみに、ファミコンの登場が1983年、更に以前の世代のゲーム機であるゲームウォッチの登場は1980年だ。この辺の歴史も面白いんだが、まずはリアルロボットに話を戻そう。

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当時の小学生は器用だったんだな。

バッハ
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その点は今も昔もそんなに変わらないと思う。当時だって、鉛筆をナイフで削れる子はクラスに半分もいなかったから。

今は割と誤解されていて、プラモデルというと敷居の高い趣味だと思われているようだけど、プラモデルってのは上手下手はともかく組み立てるだけなら誰でもできるんだよ。接着剤の跡がついてしまったりしても、プラモを完成させれば嬉しいし、そうやって作ったプラモで遊ぶのは楽しいものなんだ。

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で、なぜリアルロボットアニメにとって、そんなにプラモの売上げが重要なんだ?

バッハ
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それは、リアルロボットアニメブームのきっかけがプラモデルだったからだよ。

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何だって?

バッハ
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リアルロボットアニメのブームはガンプラブームによって引き起こされた二次爆発みたいなものなんだよ。

フェリックス
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ガンプラブームか。

3.ガンプラブームの火付け役
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もう一度年表を見直してみようか。

ガンプラブーム前夜からブームのピークを感じさせる出来事までを抜粋してみた。

1979年  4月「機動戦士ガンダム」(1979.4-1980.1)放映開始
1980年  5月「伝説巨神イデオン」(1980.5-1981.1)放映開始
     8月 バンダイから1/144ガンダムが発売される
1981年  3月 劇場版「機動戦士ガンダム」公開
     7月 「機動戦士ガンダム II 哀・戦士」公開
        ホビージャパン別冊「HOU TO BUILD GUNDAM」発売
        アリイ ザ・アニメージシリーズをスタート
     10月「太陽の牙ダグラム」(1981.10-1983.3)放映開始
1982年  1月 ダイエー新松戸店にて、ガンプラ購入のためにエスカレーターに
       殺到した小中学生が将棋倒しになる事故が発生。

月刊モデルグラフィックス2010/6月号の年表から抜粋
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まず見てほしいのは、ガンダムの放映時期とガンプラの発売時期。

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番組放映から半年以上経ってからの発売だな。

バッハ
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これには、ガンダム番組終了後の人気がジワジワ上がっていたことや、ファンの年齢層の分析から、バンダイが商品化権取得に向けて動くなど大人の事情があったのは確かなようだ。

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ガンプラブームはいつ頃からなんだ?

バッハ
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はっきりしたことは分からないが、1981年の春くらいにはガンプラが入手困難になっていたようだ。

自分は1981年夏頃からの参戦なので、それ以前のことは詳しくないが、ある時期までは普通に模型屋でキットを目にしていたことは覚えている。それがある時期から店頭でガンプラを見なくなった。ガンプラを買うなら、模型店の入荷日チェックなど情報を駆使しなければ手に入らない、そんな状態だったな。

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すると、ブームのきっかけになったのは映画の公開か

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感覚的にはHOBBY JAPANの別冊「HOW TO BUILD GUNDAM」以降なんだが、改めて調べてみると「HOW TO…」よりも前からガンプラブームは始まっていたようだ。

ガンプラブーム以前からガンダム関連グッズはある程度需要があり、それが映画の公開と「HOW TO BUILD GUNDAM」、そして頻繁な再放送による認知度向上によってブームとなったというところだと思う。

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何か一つの要因ではなく、いくつかの要因が複合的に作用したということか。プラモデル、ということでいえば「HOW TO BUILD GUNDAM」の存在が大きいようだな。

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架空のロボットであるモビルスーツを、「もしこれが実在したら」と考えて塗装やマーキングを施した作例が当時の小中学生に与えた影響は大きいと思うよ。

説明書どおりじゃなくていい、想像力働かせて色々俺設定考えて塗装や追加工作やっちゃっていいんだ、って、大人のプロモデラーが本気でやっているわけだから。こういう厨ニ的なことを肯定されたら、プロモデラーのお墨付きをもらっちゃったら、そりゃリアル厨二世代に響かないわけないって。

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新しい模型の楽しみ方を提示っていうのかな、そういう新しさを感じるな。プロが本気で遊んでみた、的な。

バッハ
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まさにそんな感じ、ガンプラに触れるまでは飛行機とかばっかり作っていたからそういう遊びのある模型作りは新鮮だった。

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さっき再放送による認知度アップという話があったが、再放送ってそんなに効果あるのか?

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当時はネットがないどころか、ビデオデッキのある家庭がほとんどなかったんだ。だから、ガンダムに出てくるモビルスーツが実際に活躍するシーンは再放送でしか見られない。

そして、再放送でも劇中で活躍するモビルスーツを見ちゃうとプラモデルを作りたくなる。再放送は、図らずもプラモデルの売上を少なからず後押ししたと思うよ。

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なるほど。ところで、ダイエー店内での将棋倒し事故がガンプラブームのピークってのはどういう事?

バッハ
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ピークというのは正しくないが、時期的にこの頃からガンプラブームは一度沈静化に向かったんだ。これは、事故の影響というよりは、新製品ラッシュが一段落したことが大きい。1981年の1月ごろには、ガンダムに出てくるモビルスーツは全てキット化されてしまっていたんだ。だから、その後の新製品は、モビルアーマーやマゼラアタックのような支援メカを残すのみとなる。

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深刻なコンテンツ不足というやつだな。

バッハ
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そう、そこで未登場のモビルスーツや設定画だけが存在するMSVが発売されるようになるわけだが、その前に旧キットに注意書きデカールを加えた「リアルタイプシリーズ」なんてものも出てきた。

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シリーズ末期感バリバリだが、それに代わるコンテンツというのが、後発のロボットアニメ作品というわけか。

バッハ
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そういうこと

4. ポストガンプラの座を巡って
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「ガンダムのプラモデルのブーム」という意味でのガンプラブームは沈静化に向かっていたが、リアルロボット関連のプラモデルの人気は依然高かった。ガンプラも沈静化に向かっていたとはいえ店に山積みという状態ではなく、ザクなど人気モビルスーツの品薄は続いていた。

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時期的には1982年あたりだな。その頃の人気作品というと、時期的に「太陽の牙ダグラム」と「戦闘メカザブングル」だな。

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プラモデルシリーズ展開を前提にシリーズ展開されたという意味ではダグラムは画期的で、ポストガンダム第一世代と言って良いだろうね。

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実際のところ、ダグラムって画期的だったのか? オッサンばっかり出てくる政治色の濃い作品という印象しかないんだが。

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女性キャラが少なく、主人公との絡みも少ないという点で華のない作品という印象を持たれている点は否定しない、オッサンばっかし登場するしね。ただ、主人公と反対の立場の登場人物の行動にも、私利私欲ではない動機と立場に基づいたものであることが描かれており、ある意味大人向けな内容になっているんだけど、中学生くらいだとその辺りは見えないかもしれないな。

ただ、リアルロボットアニメブームという切り口で見るなら、ドラマやキャラよりも設定や舞台のリアルさに注目だ。

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リアルタイムで見たときには気づかなかった事が、大人になってから見ると分かる、ってやつだな。

ドラマやキャラは置いといたとして、リアルロボットアニメとしてはどうなんだ?

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ダグラムの設定は、当時の「リアルなロボット」のイメージをダイレクトに反映したもので、当時の最先端を設定に実装したものと言える。

まず、ダグラムに登場するロボットは、陸戦専用で空を飛ぶことはできない。背中にハングライダーみたいな翼をつけることで降下作戦的な運用をすることはあったけどね。ロボットの頭部はコクピットだから窓はあるけど目はないなど、ロボットの顔に相当するパーツがない。

加えて、戦いの舞台は砂漠やジャングル、市街地など地上戦のみ、という当時としてはかなり思い切った設定をしている。ま、現用の戦車に相当する兵器ってことなんだろうな。空中戦も宇宙での戦闘もないので絵的には随分と地味なものになってしまった。

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そりゃそうだな、実際の戦闘ってのはそんなに派手なもんじゃないだろうし。

ダグラムが「砂漠とジャングルを行ったり来たりするばかりで絵的に代わり映えがしない」「ロボットが走りながらライフル撃つばかりで戦闘シーンも変化が少ない」などという評価があったのは確かだな。

バッハ
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ロボットを運用するための支援メカはトレーラーやヘリだ。

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地味だな

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ロボット以外に出てくる兵器は、戦闘ヘリ、装甲車、兵員輸送車、トラック、ジープだな。

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地味だな

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ダグラムのプラモデルは、透明パーツやデカールを標準で付属していた。ガンプラの時は作る側で後付けしていたものが、全てキットに含まれていたんだ。まあ、当時の戦車や飛行機のキットでは当たり前のことだったのだが、それをロボットのプラモデルに全て投入した。

加えて1/72と1/48という一般兵器のプラモデルに合わせたスケールを採用した。

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スケールの設定ってそんなに重要なのか?

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例えば基地の情景をダイオラマで作りたいとする。ロボットはキットがあるから良いとして、周辺には何を置く? 基地には兵員を乗せたトラックや飛び立とうとしているヘリ、ジープなどの小型車両が動き回っているな。

ダグラムに登場するロボット以外のメカは現用兵器みたいなもんなんだ、スケールモデルにはそのへんに使えそうなものはウヨウヨある。スケールが同じなら、既にあるプラモデルがいくらでも使える。これは大きい。

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トラックやジープのフルスクラッチなんてしたくもないな、確かに。

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設定やプラモデルだけでなく、メディアの利用についてもダグラムは進んでいたと言える。デュアルマガジンというムック本を隔月刊で出版し、ダグラムのプラモデルの売上をサポートしていた。当時、アニメとプラモデルに加え書籍まで統合して展開するという発想自体がなかった。

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アニメとプラモとを連携するだけでなく、独自の雑誌まで出していたのか。時代を考えると、ミックスメディア的な展開の先駆的な存在と言えそうだ。

バッハ
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こうして、ダグラム関連のプラモデルはバカ売れした。あまりに売れすぎたため、番組放映が半年延長されて、結果「太陽の牙ダグラム」は全75話の長大な作品となったわけだ。

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「太陽の牙ダグラム」は大成功というわけだな。

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「太陽の牙ダグラム」はリアルロボットアニメブームにおいて最も成功した企画の一つだが、バカ売れして大成功したのはあくまでもプラモデルだということなんだ。

実は本編であるアニメの方は視聴率的に苦戦していたんだ。

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ダグラムは成功したリアルロボットアニメだと聞いていたが、その割にダグラムを見ていたという人をあまり見ないのはそういうことか。

バッハ
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リアルロボットアニメブームというのは、リアルロボットのプラモデルのブームと連動している、というのはつまりそういうことなんだ。

ダグラムの例はかなり特殊だが、アニメ作品そのものよりもプラモデルが売れることによって形作られたブームであるという側面は他の作品についても当てはまるんだよ。

ダグラムはプラモデルが売れることで作品が延命したケースだが、プラモデルの不振が理由で作品に影響が出たケースもある。

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そんな作品あったっけ?

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聖戦士ダンバイン

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あー

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ダグラムについてまとめると。ダグラムの企画はガンプラブームにおける「HOW TO BUILD GUNDAM」的な「リアルさ」を追求したものだと言える。プラモデルの売上は、それがファンに受け入れられたことを示しているが、一方でアニメ本編の苦戦ぶりは、別の問題を浮き彫りにした。

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「リアルさ」にこだわり過ぎた結果、地味な画作りになってしまったのか。

バッハ
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今から振り返ってみると、「リアルとはなにか?」という問いに対する踏み込みが多少甘かったのだと思うな。目の前に「HOW TO BUILD GUNDAM」とガンプラのブームがあったからダグラムがあの形になったのは理解できるが、「リアル=現用兵器的」だけでないリアルの有り様を提案できれば、もう少し違う画作りができたと思う。

個人的には、ダグラムの魅力はオッサンばかりで地味なところだと思うし、あの時代のリアル思想をギュッと凝縮した作品ということで、もっと評価されても良いと思う。

フェリックス
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まあ最初から全部はうまくは行かないものだ

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絵作りの問題は、次回作である「装甲騎兵ボトムズ」において別の試みがなされるわけだが、「リアル」の追求についてはより尖ったものになっていくことになる。

プラモデルについて特筆すべきは、ダグラムのプラモデルを開発したのはプラモデル開発の経験がないタカラだったということだね。実際の開発は日東科学工業だけど。パーツの合いなど工業製品としての完成度は高かったんだ。

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リアルロボットブームに乗って、色々なメーカーが参戦してくるわけだな

バッハ
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ダグラムについてはこのくらいにして、次は「戦闘メカザブングル」だな。

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ザブングルといえば、アクセルとハンドルで2脚ロボットを操作するってアレだな。

バッハ
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ザブングルというアニメ作品自体は荒野を舞台にしたコメディタッチの作風だが、メカは日常の作業機械、現代における車のような位置づけの機械として設定されている。アクセル、ハンドルはその表現ってことなんだろうな。

兵器としてのリアルを追求したダグラムに対し、生活の道具としてのリアルを盛り込んだのがザブングルのロボットということになる。

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その結果「戦闘メカザブングル」といいつつ、出てくるロボットはほとんどが作業用のロボットに機関銃などの軽武装を取り付けたものになったっていう。

主人公メカのザブングルを除くと、2脚でありながら非人間型というのが新鮮だな。

バッハ
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作中での主役メカ交代など、ザブングル以降の基本フォーマットとなった新しい試みなどもあり、ダグラムが目指したものとは明らかに違う「リアル」を模索した作品と言える。プラモデルという切り口で語るとなると、プラモデルメーカー側の暴走について触れざるを得ない。

フェリックス
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メーカー側の暴走? 何かやらかしたのか?

バッハ
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ザブングルのプラモデルはガンダムと同様1/100と1/144で展開されたが、単に値段の高い方、安い方、というだけでなく明らかに違う方向性で開発が進められた。

小さい方の1/144は、アニメのデザインを再現したシリーズとして展開された。大きい方の1/100の方はアニメのデザインを踏襲しつつ、よりリアルさを追求したもので、設定にないディテールの追加に始まり、デザインラインを変更して物によっては設定とはかなり異なるシルエットを持つものになってしまう場合もあった。メーカー側がリアルさを追求するあまりやりたい放題やってしまったということだな。

2つのスケールで2つの方向性というのは、ボックスアートにも現れている。1/144は普通の背景付ボックスアートだが、1/144は背景を白色無地、まるでタミヤのMMシリーズのような箱絵にしたんだ。

こんな感じ。これはオリジナルじゃなくて再生産時のものだけど。

フェリックス
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このボックスアートは意気込みを感じるな。それに、1/100シリーズではこのトラッドイレブンタイプが最初に出たのか。主役であるザブングルよりも先に。

バッハ
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そう、1//100シリーズの第1弾は主役であるザブングルタイプではなく、作業用小型ウォーカーマシンであるこのトラッドイレブンタイプだったんだ。

箱絵にある取っ手やウィンチも全てキットでは再現されているという意欲作で、1/100シリーズは今後この路線でシリーズ展開がなされることになった。

フェリックス
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1/100トラッドイレブンの発売が1982年の7月頃、ダグラムの1/72のクラブガンナーがその少し前という感じだから、ダグラムにしてもザブングルにしてもシリーズ展開はこれからという時期だな。

バッハ
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そう、ザブングルもダグラムも1982年の夏から年末にかけてすごい勢いでシリーズを展開していくのだが、そこである事件が起こった。

フェリックス
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1/100ウォーカーギャリア発売中止事件だな。

バッハ
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1/100のウォーカーギャリアの発売中止が大きな話題になったが、発売のアナウンスが出ていながら結局発売に至らなかったキットは他にもあったんだ。1/144のドランタイプや1/48のレッグ&ブランタイプも発売が見送られ、1/100では中盤に登場したガラバゴスタイプより後のアイテムは模型化されず、1/144でもウォーカーギャリア以後のアイテムが中止になった。

フェリックス
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要するにシリーズの売れ行きが芳しくなかったのだな。

バッハ
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1/100ウォーカーギャリアの発売中止のアナウンスがいつ頃だったかは覚えていないが、Wikiによると模型情報Vol.44(1983.4月号)にて、とあるので1983年の3月から4月頃のようだ。ただ、自分の記憶では1982年の年末には既に雲行きの怪しさを感じていたように思う。

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新製品の発売ペースが落ち込んでいたからだな

バッハ
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そうは言っても、当時の感覚からしてザブングルのプラモデルは依然入手が難しかったから、売れてなかったとは思えないんだけどな。

ダグラムは新製品の発売ペースをある程度維持しつつ、番組放映から数ヶ月でロボットだけでなく支援車両やヘリまでキット化したが、その一方でザブングルは1983年に入ってからの新製品の発売ペースが落ちて、番組後半のロボットはことごとく販売されなかった。

下の写真はHOBBY JAPAN1983年5月号にあったザブングルシリーズの広告。既にウォーカーギャリア1/100の表記は消えているが、1/48スケールのブランタイプとレッグタイプは残っている。これらも結局は発売されなかった。

フェリックス
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HOBBY JAPANの1983年5月号が出た1983年4月後半には、既にザブングルの次回作である「聖戦士ダンバイン」の放映が始まっていたし、ガンダムのモビルスーツバリエーションのキットが発売され初めたのもこの頃だから、バンダイにおける新製品の数そのものは落ち込んでいないんだな。

バッハ
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ただ、1/100ウォーカーギャリア発売中止の前後で、潮目が変わった感じはあったよ。これまでのようにアニメ本編に登場するロボット全部がプラモデル化されることはもうないだろうと、新しく始まったダンバインにしてもシリーズ後半のロボットはキット化されないだろうという雰囲気はすでに感じられたな。実際そのとおりになったし。

とはいえ、1983年の夏頃まではダグラムの新製品ラッシュが続いたことや、ガンダムのモビルスーツバリエーションシリーズの展開、まだ触れていないがマクロスシリーズの充実など、まだまだリアルロボットのプラモデル界隈はまだ賑やかだったんだな。

フェリックス
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これが、1983年秋以降徐々に厳しくなっていくというわけだな。

バッハ
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長くなったので、その辺の話はまた別の機会に。

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