何かしら作ることを趣味にしていると、時間がかかる作業をなんとか効率的に、あるいは正確さが必要な作業をなんとか必要な精度をクリアしたいといったことがあるだろうと思う。そのために、工作用の治具などを考案するといった方法でクリアできることもあるが、工作機械を導入することで「今までの苦労はなんだったんだろ?」と思えるほどの効果を上げることも少なくない。
そこで、個人でも導入できそうな工作機械について、一応、仕事あるいはプライベートで導入して便利だったものを中心にまとめておきたいと思う。前提として、樹脂や金属のような硬い材料を相手にする、機械工作的なものを対象とする。
1. ボール盤 -穴開け作業を効率化する
金属あるいは樹脂を相手にしていると、様々な理由で穴開けをする必要がでてくるが、数が増えてくるとこれがかなり面倒くさい。更に、材料に対して直角に穴を開けたいのだが、ピンバイスやハンドドリルだと角度が決まらず、せっかく開けた穴が使えないという事態も出てくる、そうなると最悪のケースだと部品を一から作り直すといったこともあり、せっかくのやる気が萎えてしまう。
こういう場合に役に立つのがボール盤である。ボール盤は穴を開ける対象物(機械用語では「ワーク」という)を置く台と、それに対して垂直にスライドできる電動ドリル(主軸あるいはスピンドル)とを組み合わせたもので、ワークに対して垂直に穴を開けることが可能な工作機械である。電動のハンドドリルで穴をあける時、穴開け位置とドリルとワークの直角を同時に気をつける必要があったが、それが穴開け位置だけになる効果は大きい。ましてや、ピンバイスや手回しのドリルを使っていたなら尚更である。
穴開け作業の頻度は相当に高いので、ボール盤は真っ先に検討したい工作機械だと思う。それだけに、選択肢もそれなりに幅広く、ネットで探し出すとどれを買ってよいやらという状態になってしまう。ちなみに、ここでは単に「ボール盤」と書いているが、実際に探すときは「卓上ボール盤」というものを探すことになる。「卓上」の有無の意味するところは、機械を直に床置きで使うことを前提としているか、専用台あるいは作業台に乗せて使うことを前提としているかの違いである。プライベートで使うのであれば床置きの大型のものではなく卓上型を選ぶのが普通である。
ボール盤を選ぶ時のポイントは、大体以下の通りのことを考えておけば良いと思う。ただし、実際には予算などの制約を優先し、ある程度は割り切って考える必要がある、プライベートはそんなものだ。
- 主軸の回転が滑らかで振動がないこと。
- 主軸の芯ブレがないこと。
- スイッチを入れて主軸が回転を始めるときの振動が少ないこと。
- できるだけ主軸の回転数を下げられること。Φ10以上のドリルを使う場合は300rpm以下には下げたい。
もし、予算と設置場所があるのであれば、このくらいのクラス( エンシュウ ESD-350S-DK )が欲しいところだ。この機種なら、上記ポイントの内、低い回転数以外のポイントは全部クリアしている。このクラスのイメージとしては、中学校の技術室に置いてあるボール盤で、殆ど使っていないに違いないので廃棄するときには是非欲しいくらいだ。
さて、現実的なものを選ぶとなるとこの下のクラスになるのだが、実のところ正直「どこまで妥協できるか」というレベルのものになる。大きさも、先の日立工機あるいはエンシュウのボール盤くらいのサイズ(最大ドリル径13mmくらい)か、これらよりも二周り小さくてホームセンターによくおいてあるタイプのサイズ(最大ドリル径10~13mm)、更に小型のミニボール盤と言われるタイプ(最大ドリル径6mm程度)だ。
ちなみに、私は4畳半の部屋を仕事部屋件工作室として使っているのでスペースと取り回しを第一に考えこんな製品を使用している。
主軸の芯ブレと振動の少なさはまずまずで、回転数をボリュームで変えられるのは便利だが、軽作業には十分に使える。欠点としては、滑らかに回転させるためにはある程度回転数を高くする必要がある上にトルクがないので、時々ワークに穴をあける前にドリルの回転が止まることがある。こういう場合は、無負荷で回転数を高くした状態でワークにドリルを軽く当てて穴開け、このときドリルの回転数が減速するので、止まりきらない内にドリルを上げ、回転数が回復したら穴開け、を繰り返すことで穴開けが可能である。また、回転数が高すぎることで樹脂が溶けることもあるが、上記のようなやり方で「溶ける前にドリルを上げる」ことで樹脂を溶かさずに穴開けをすることも出来る。
もう少しトルクがあり、回転数が下げられるといいのだが、似たような大きさと価格帯の製品だとなかなか代わりがなさそうというのが実際のところである。ちなみに、ブランドや名前が異なるが多分これも同じ製品で価格が安い。
2. コンタマシン -切断作業を効率化する
板材や棒材の切断は、穴開け以上に頻度の高い作業である。このような用途で材料や形状によらず汎用的に使える工作機械がコンタマシンである。コンタマシン、帯状のノコ刃をリング状にしたものを回転させることで材料を切断する機械で、使い勝手の工作機械として糸のこ盤と比較すると刃の往復運動がない分切断の効率がよく、また安全である。
コンタマシンを選ぶには次のようなことに気をつけたい
- 金属に対応する刃があること
- 金属に対応する回転数が設定できること
- 十分なふところ(ノコ刃と胴体の空きスペース、狭いと切るものの幅が制限される)の深さがあること
私はラクソーのU-32を中古で購入したものを実家の工作室では使用していたが、出物がない場合は入手できないし、かと言って新品で買うにはかなり高価な代物である。一方で、職場などでコンタマシンを買う機会があればこの機種を検討に入れて良いと思う(と言っても、職場だったらもっと上級モデルも視野に入れてよいだろうが)
コンタマシンは便利な機械だが、ちょっとした不注意で指を切断してしまうこともある(以前勤めていた会社でたまにそういう事故事例があった)ので使用には注意が必要である。
3. 板金加工機 -板材限定だが強力なツール
コンタマシンは汎用的な切断に使えるが、一方金属板金限定で便利なのが板金加工機である。比較的薄い(1.5mm以下くらい)アルミ板などを加工対象とすることが多いのであれば検討する価値は大いにある。ここで紹介するものは厳密に言えば工作機械ではない(動力を持たないので)が、非常に便利なツールであることは間違いない。
板金加工機の主な機能は切断と曲げで、ものによってはロールの機能を持つものもある。切断はノコギリのようなものではなく強力なハサミのようなものでせん断加工(シャー)を行う。そのため、切断は直線に限られるが切断自体は一瞬で済み、切断面はきれいでコンタマシンのように後仕上げの必要がないほどである。曲げは材料板にブレードを押し付けるもので、きれいな曲げ加工ができる。
私が購入したものは、ミスターマイスターのシャーベンダーMSB-8だが、この機種は作業台にがっちり固定する必要がある。とにかくアルミ板の切断がパシパシできるので板金作業が捗る。曲げも再現性良く、仕上がりもきれいに行える。
この機種の他に、レバー部分に倍力機構を設けることで作業台に固定する必要のない機械もある。値段はお高いが便利につかえる。欠点としては、倍力機構付近の作りがやや華奢で2年位で壊れる可能性がある。私などは時々直しながら使用していた。
今、曲げ専用機がほしいとしたらこれ。オリジナルマインド MAGEMAGE。両手作業用のレバーが曲げのモーメントを打ち消すので作業台に固定する必要がなく、凝った倍力装置がないので壊れなさそう。シャーでも曲げでもないが、ニブラのような使い勝手でガンガン板金に穴開けや切断ができてしまうオリジナルマインド GOIGOIも大変便利そうである。何かのイベントで展示品で板金に穴を開けさせてもらったが使い所は多そうだった。
とりあえずはここまで
プライベートでも導入可能で、なおかつ導入効果と汎用性を期待できる工作機械についてまとめてみた。実際にはこれだけでなく、旋盤やフライス盤、さらにCNCや3Dプリンタなど色々あるのだが今回はここまでということで、また機会があればその他の機械についても紹介したいと思う。


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