最近家で使用していた3Dプリンタがお亡くなりになったので、新しい3Dプリンタを導入することにした。予算は10万円程度、調べてみるとこのくらいの予算でも驚くほど選択肢が多く、どれも印刷品質は十分そうだ。その中で、私が選んだのはQIDIのX-proという機種である。
購入に至るポイント
購入のポイントとなったのは、以下の通り。
- ヘッドが2つついており、2種類の素材(2種類の色)を使用した出力ができること。特に、サポート材と出力部品材料とを別に出来るのはなにかメリットがありそう(あるとは言ってない)。
- ベース固定方式が、フレキシブルなベースを磁石で固定するタイプであること。
- すべてが箱の中に入っている密閉型であること。
マルチヘッドは、必要機能というほどではないがあると面白いことができそうという理由。その他の2つはそれまで使用していた3Dプリンタの使用していた経験によるものである。
3Dプリンタのベースは本体から簡単に取り外せるもののほうが良い。以前使用していた3DプリンタはUP Plus2で、ベースの取り外しの出来る機種であったが、ベースを固定するクリップ状の金具の設計がまだこなれておらず、少し使いにくい部分があったので、ベースを本体から外さずに出力部品を剥がすこともあった。ところが、本体からベースを外さずにスクレーパーで出力部品(の根元)をガンガン剥がすことによる振動の影響だろうか、しばらくするとベースのアラインメントが狂ってしまい、その都度ベースアラインメントを調整する必要があった。調整自体は難しくないものの、手動でやるとなると10分程度かかるので、調整の頻度が低いに越したことはない。
また、ベースの平面度も重要である。UP Plus2はFRP製の板を使用していたが、使っているとこれが反ってくるようで、先のベースアラインメントの調整に時間がかかる要因の一つになっていた。つまり、ハード的にある程度合わせた後でソフト的にかなり(0.7mmくらい)高さの補正を行う必要があるのだ。その理由は、金属のヒーター面に対してベースは周囲のみ固定しており、ベースの中央は固定していない(出来ない)のである。
以上の問題を、ベースを磁石で固定する方式ではクリアしているように思える。一つはクリップのないことによる取り外しのしやすさ、もう一つはベースが金属ヒーター面に対し周囲だけでなく中央も磁石で固定できており、そのため金属ヒーター面程度の平面度は確保されていることである。
3Dプリンタが密閉型であることの利点は、3Dプリンタの周囲温度の影響を受けにくいことにある。UP Plus2は開放型であったため、夏は普通に出力できたが、冬だと成形途中の部品がベースから剥がれるトラブルが頻発するなどの問題があった。そのため、結局UP Plus2の周囲を発泡スチロール製の板で製作した箱で覆うことになったが、今度は、樹脂フィラメントの交換時にはこの箱をどける必要があって面倒くさい、そのためフィラメントは別途用意したドラムに固定し、箱の外に置くようにするなど色々と後で工夫が必要になったという経緯があり、それなら最初から密閉型の3Dプリンタ買うのが上策だと思い知ったという次第である。
このような理由でQIDI X-proを選んだのだが、この機種、新モデルと旧モデルがどちらも購入可能で、どうもベースが取り外せるのは新モデルのみのようなのだ。「ようなのだ」とハッキリしないのは、メーカーサイトに行ってもハッキリした情報がなく、ショップサイトの情報では旧モデルのベースに関する情報がないのでなんとも言えないのだ。しかも、価格は新モデルが10万円程度に対して旧モデルは6万円くらいなので、ベースが磁石固定なら旧モデルでも良いのだが、そこは新モデルであえてベースの固定方法に言及していることと、旧モデルの情報がないことを考慮して、新モデルを購入することにした。
その他、置くためのスペースを十分確保できるかなどで少し悩んだが、問題が出たとしても解決可能だろうと判断、購入した。
一月程度実際に使ってみて
購入後、箱から出してセットアップして試しに出力するまでは比較的問題なし。説明書がないので戸惑ったが、付属のメディアの中を覗くとマニュアルらしいファイルがあるので、それを見ると大体の手順はわかる。本体ケース内に収められていた上蓋をどう取り出すかは若干悩んだが、一度出力用ヘッドをとりはずせば問題なく本体ケース内の部品は簡単に取り出せる。よくわからない場合は、メーカーサイトにその辺の動画があるようなので、そちらを参考にすれば良いと思う。youtubeでもその手の動画はあるんじゃないかと思う。
それから、実際に設置するにあたり問題になったのは設置場所の条件。場所のサイズだけでなく、X-proはスイッチON/OFF、操作、フィラメントの交換のために正面だけでなく、後方、できれば上方からのアクセスが必要になるので、広い作業台の上に置くか、フィラメント交換などのために動かしやすくするための工夫が必要である。私は床の間に納めたかったので、棚板をスライドできるようにして後方にもなんとか手が届くようにした。

印刷品質については特に問題なく十分合格点。UP Plus2と比較して若干ヨレみたいなものが少ない気もするが、あくまでもその程度で感動的に良くもないが不満を感じる点もない。それよりも、あまり機種選定のポイントとしなかったがWiFiがついているのは便利。メインのパソコンと3Dプリンタが離れているので、UP Plus2では3Dプリンタにパソコンを一台張り付けて運用していたが、その必要がなくなったのは本当にありがたい。
スライサーソフトはメーカー純正のQidi printを使用したが、UPのものほど洗練されていないものの、設定項目の多さとキメの細かさはこっちのほうが良い。とりあえず、ABS出力のときはヘッド温度245℃、ベース温度を110℃として今の所安定している。ちなみにUP Plus2ではヘッド温度は260℃程度だった。
Qidi printはデフォルトでサポートなしの設定になっているので、そのままオーバーハングのある部品を出力すると空中にスパゲッティを描くことになるので注意。私も何度かやらかした。この点、デフォルト設定で何も考えずとも部品が出力できるUPは優秀だと感じた。ただ、サポートの種類や各パラメータを細かく設定できるQidi printも魅力的で、今後PLAとABS以外の樹脂を扱う時に重宝すると思う。
出力品質について、部品の綺麗さという点で特に不満はないが、UP Plus2を使用していたときのモデルに比べると穴寸法がやや小さい印象を受ける。QIDI X-proが出力した成形品の寸法を測ると、外形寸法はほぼ狙い値どおりなのだが、(円形、非円形によらず)穴は少し小さい。Φ4mmの穴指定で3.8mmとか3.9mmになっている、という程度なのだが、シャフトを通そうとして通らず後加工あるいは出力し直しというのはあまりやりたくない。3Dデータ作成時にUP Plus2のときよりも少し大きめに穴を作成することで対処しよう。
製作した部品をボードから剥がす作業は本当に楽になった。元々UP Plus2もベースからの剥がし作業は楽だったが、X-proは3Dプリンタからベースを取り出す作業、というより作業というほどの作業もなく取り外せるのが良い。また、ベースがゴム磁石のような柔らかい素材なので多くの場合スクレーパを使わなくてもベースから製作部品を外せる。しかも、今までUP Plus2で時々あった成形中の部品がボードから剥がれる現象が殆どない(ベースの温度を110℃にしてからは皆無)なのが良い。
その他の気づき
今回QIDI X-proを購入して、10万円程度の3Dプリンタのパフォーマンスの高さと、それから改めてUP Plus2の完成度の高さを認識した。UP Plus2 およびUP純正のスライサーは、ほぼ買ってきてそのままの設定でオーバーハングありの成形品を出力できたし、初心者でもあまり迷わずの出力までできたが、これが普通ではないことを今回知った。最初に購入するのであれば、UPの製品が良いと思う。
一方、ある程度3Dプリンタを触ったことのある人、あるいは調べて少しずつ使えるようにしていくというつもりの人であればQIDI X-proはコストパフォーマンスの良い3Dプリンタだと言える。
ちなみに、UPのPlus2は今でも購入可能。
仕事での経験含め最初に買うなら、UP mini2 ESがオススメかな。出力サイズがUP Plus2よりも更に少し小さいのだが。


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